Creatorshead

株式会社クリエイターズ・ヘッドのつぶやき

アグリテックその2

以前のブログ記事で、今後の農業のIoT/AIを活用した生産性向上を目的とした「アグリテック」というキーワードを紹介させていただきましたが、これは、その第2弾的な内容になり、日本の農業での可能性に関して書かしていただきます。

気温、湿度、光量、CO2量、養分量などセンサー技術の導入は、海外では積極的に行われ、生産性向上を実現してきました。

米国では1990年代からセンサーなどの農業へのIT投資は伸び続け、1998年の約10億ドルから2013年には約70億ドルと7倍の規模になりました。

米国のエアロファームというベンチャーの大規模な「植物工場」では、レタスなどの葉物栽培で各種センサー技術とLED照明、空調などを組み合わせ、それまでの露地栽培に比べて単位面積あたり130倍も生産性を向上させました。

一方、経営面積1.0ヘクタール未満の小規模農家が半分以上という日本では、採算性などへの懸念から、農業へのIT投資は伸び悩んでいます。

農業へのIT投資は1999年の728億円をピークに、2006年の264億円と下落傾向が続いたが、2011年には601億円と復調しました(経済産業研究所調べ)。その多くをセンサーやIoTなどの「生産効率化」が占めました。

センサーを利用し、科学的なデータを収集・分析すれば、栽培条件の最適解に近づいていくことも期待できます。それは農家に、収穫量の増大、農薬の効果的な散布といった恩恵をもたらします。

現在のところ、高度なセンサー活用は主にハウス栽培で開発が進んでいます。

しかし、2016年の時点で全農地面積の約450万ヘクタールに対して、ビニールハウスやガラス室など施設栽培は約4万3000ヘクタールと1%に満たしません。

センサー活用が真に農業になくてはならない強力な武器だと認識されるには、残る99%以上を占める露地栽培で高い成果を出す必要があるでしょう。

露地栽培は日照りや豪雨など気象の影響が大きく、センサーの精度を高めても、ハウスほど温度や湿度をコントロールできません。病虫害の発生や雑草の繁茂を抑えることも困難です。

そのような露地栽培の課題は、今後デジタル技術で克服できるのでしょうか?

世界の農作物は、病虫害と雑草の被害で3分の1が商品にならないと言われています。病虫害が予防できるだけでも、農業全体のロスはかなり防げるでしょう。

これから各種センサーの精度が上がり、そのデータを分析していけば、病虫害の発生が予測可能になるかもしれません。

少なくとも、被害が広がる前に処置できるようになることは期待できるという専門家の話があり、病虫害予防はコスト面で効果があると言われています。

データベース化した過去の記録からでも、病虫害の発生時期がある程度は予測でき、農薬を使う場合でも、適切なタイミングで予防薬を用いれば、かなり被害を防げます。

そのほうが、病虫害が広がってから全面的に散布する治療薬より安く、コストは段違いということです。

気象条件で変化が出やすい露地栽培では、ハウス栽培ほどセンサーの効果は明確に出にくいでしょう。

しかし、センサーを活用する農家が増えていき、データを集積・共有していけば、露地栽培の環境条件と作物の生育状況との関係性が解き明かされていく可能性があります。
高度なセンサー技術とAI、IoT、ビッグデータ解析を組み合わせて、農業分野のデジタル技術が普及すれば、日本の農業が飛躍的に進歩する日はそう遠くないでしょう。

弊社も近い将来、農業のICT化に少しでも貢献できればと考えております!