Creatorshead

株式会社クリエイターズ・ヘッドのつぶやき

InsurTechとは?

最近、保険業界では、「FinTech」の保険会社版とも言える「InsurTech(インシュアテック)」というキーワードが話題です。

「InsurTech」とは、保険(Insurance)と技術(Technology)を掛け合わせた造語であり、従来の生命保険会社では提供できなかった新たな保険商品・サービスの開発や業務の効率化・高度化などにおいてIT技術を活用して提供する生命保険関連サービスを意味しています。

「InsurTech」は、次のような8つに分類した領域を主に対象としている。

・個人ごとの(健康増進型)保険商品の開発
・疾病管理プログラム
・AIやチャットボットなどを活用した保険見直しコンサルティングや保険相談サービス
・AIを活用したアン ダーライティング(引受)の自動化
・受診勧奨から受診、異常告知を受けた場合における診療までのトラッキング
・アプリなどによる契約者および契約者の家族向けアフターサービス
・AIやBRMS(ビジネスルール管理システム)などを活用した支払査定の自動化
・インフラとしてのブロックチェーンの活用

国内「InsurTech」市場規模は、従来の生命保険会社が提供していなかった新しい保険商品・サービスの開発や業務の効率化・高度化をサポートするベンダーやベンチャー企業に焦点を当て、当該参入事業者の売上高ベースで算出している。

2016年度の国内「InsurTech」市場規模(参入事業者売上高ベース)は、460億円の見込みで、特にAIなどを活用した業務の効率化・高度化ソリューションが市場をけん引している。生命保険会社の業務プロセスのうち、引受査定や保険金・給付金の支払いなど、一部の領域においてAIなどの導入が進んでおり、業務プロセス改革も併せて取組むことによる成功事例も生まれている。

また、生命保険会社を中心に健康増進型保険(健康状態や健康増進に向けた取組み度合いに応じて保険料が変動する保険商品)や疾病管理プログラムなど、従来にはない新しい保険商品・ サービスに向けたデータ収集などを進めており、徐々に盛り上がりを見せ始めている。

一方、法改正のほか、金融機関やSIerを中心としたベンチャー企業の支援環境整備が進む「FinTech」と異なり、「InsurTech」におけるベンチャー企業の支援環境はまだわずかに留まる。

2016年度は、特にAI(人工知能)などを活用した業務の効率化・高度化ソリューションが市場を牽引した。

現在、引受査定や保険金・給付金の支払などの領域に限定してAIなどの導入が進んでおり、2017年度以降も引き続き、AIなどを活用した業務効率化・高度化の範囲が広がっていくとみられる。

2017年度以降に市場を牽引する領域としては、上記の市場に加えて健康増進型保険や疾病管理プログラムが期待される。

まず国内の大手生命保険会社を中心に、健康診断データやライフログデータの収集を通じて、健康増進型保険の開発を進めているほか、外資系の生命保険会社を中心に進む、疾病管理プログラムの充実に向けて、スマートフォンアプリを含めたサービス開発を今後、さらに加速させていくとみる。

特にデータ収集にあたっては中央省庁や地方自治体の保有する公共データのオープン化 (オープンデータ)なども進むことが期待される。

まず法律的環境の整備について「FinTech」は、後押しする法律が相次いで成立する一方、保険業界は、保険業法等の改正の動きはなく、「FinTech」と比較して事業環境がまだ未整備である。

ただし、2016年12月に成立した、官民データ活用推進基本法によって、中央省庁や地方自治体によるデータの公開を通じて、医療系データの取込みが進むことが期待されている。

次にベンチャー企業の支援環境の整備について「FinTech」は、メガバンク地方銀行SIerによる積極的なベンチャー企業育成イベントが積極的に行われている一方「InsurTech」における同様のイベントは限定的である。

法規制などの障壁は大きな影響を与えるものの、そうした規制を回避する上では、生命保険会社やSIerなどによるベンチャー企業に対する支援・育成が不可欠であるため、今後のこうした活動を期待する。

さらに、技術的な環境整備として、特に期待されるのはAPIの公開である。

APIを構築することで新たな保険商品やサービスが創出される可能性も出てくることが期待される。

費用対効果を鑑みつつ、早急に検討を開始すべきと考える。

今後は官民データ活用推進基本法によって、中央省庁や地方自治体によるデータの公開を通じて、健康増進型保険や疾病管理プログラムの開発が進むことが期待されている。
技術面では現在、活発化する銀行APIの公開に続く、保険領域におけるAPIの公開に向けた議論が今後、進むとみられる。

さらに大手生命保険会社を中心に、「InsurTech」ベンチャー企業向けイベントの開催や法的支援をはじめ、ベンチャー企業の育成・支援に向けた環境が徐々に整っていくと考えられる。

こうしたことを背景に国内「InsurTech」市場規模(参入事業者売上高ベース)は2018年度に565億円、2020年度には1,100億円に達すると予測される。

今後、領域自体も、主たる事業者も変化していくことが予想される。

また現在、健康増進型保険の開発を軸に進めているものの、将来的には同保険を軸としたエコシステムの構築競争が加速していく可能性もあるものとみられる。

もしくは、先制医療(発症前に予測・ 診断し治療介入すべく研究が進む医療分野)を含め医療技術の発展や、ユーザー(一般生活者)の健康に対する意識の変化などを背景に、予防や予後まで含めた疾病管理プログラム間での競争に移行していくとみられる。

いずれにしても「InsurTech」によって、生命保険会社は従来の支払事由が発生した際に保険金を支払う位置づけから、支払事由を回避する上で、加入者に寄り添い支援していくパートナーとしての位置づけに変わっていくことが期待される。

弊社は、某大手保険会社の契約書管理システムを構築しているが、今後このような「InsurTech」の領域への発展的提案をしていきたいと考えています!